日本では賃貸物件を選ぶ際、最初に目に入るものの一つに図面があるかと思います。不動産会社のお店の前にも図面が貼られています。ロンドンを始めUKのどこへ行っても図面が付いている物件は少ないのではないでしょうか。ロンドンの物件は古いものが多く、例えばCityと呼ばれるロンドン中心地(日系企業などのオフィスが多くあるエリア)などは築200年前後の物件も多く残っています。1666年にロンドン大火を経て今も残っている建物もたくさんあります。
このような古い物件が多く、その建物も長年の間に売買が行われオーナーが変わり、、と図面なども残っていないのが多いようです。古い物件でしかも図面があるものは不動産会社などが図面作成用のソフトを使い作成したものです。古い物件だと現代の建物のように垂直、水平、平行が取られていないため(歪んでいる)きっちりとした図面を作るのは無理です。また不動産会社に勤める社員あるいはアルバイトがテープメジャーやデジタルメジャーを手に物件へ出かけ20-30分で採寸したものです。そのため実際の物件とは数十センチの誤差があるものや小さすぎるドアや大きすぎる窓など、どう見てもおかしな図面を良く見かけますので気休め程度でご覧になるのが良いでしょう。
余談ですが、図面からはその物件の床の水平が取れているかはわかりません。以前ロンドンにお住いの娘さんの家にお父様が遊びに来られました。そのお父様は家に入り、すべての部屋を見終わるころには機嫌が悪くなっていたそうです。お父様のお仕事は大工さんで、床の水平が出ていない、寝室のドアやドアフレームの角が直角ではない、ペンキが何重にも塗り重ねられているため窓の鍵が閉まらない、ペンキがくっついて窓が開かない、、、日本の物件とは比べられないような物件だと怒っていたとのことです。
日本と比べ古い物件がいつまでも残っています。50年、100年、200年経つうちにゆっくりとした地盤沈下が起きている物件も目にしてきました。国が違います、風土も文化習慣も違います。日本と比べてしまいがちですがこちらの国に慣れることも必要です。
Comments