イングランドの今年7月から9月におけるSection 21 (no fault eviction) を使った退去が2023年と比べ23%アップしたようです。
Section21とは現在の賃貸契約の中にある大家の権利の一つで、理由の有無を問わず賃貸契約を2か月で解除できるものです。
来年春頃の賃貸のレギュレーション改定を見据え、大家たちがこの権利を行使しているものとみられます。レギュレーション改定になると毎年の家賃増加率が規制されたり、Section21 が廃止されたり、大家に課せられる義務が大きくなります。義務を果たすために大家は物件のアップグレードをしたりお金がかかります。現在安い家賃で物件を貸している大家にとっては、安い家賃のまま新しいレギュレーションをクリアすすることは難しく、結果として現在のテナントを追い出すことになっているのだと思います。
大家にとって賃貸を行うことが金銭的に負担になって来る。そのために家賃を上げなければ元が取れない。家賃の上昇率が決められてしまうのであれば最初から高い家賃設定にしておかないと物件を貸す意味がなくなってしまう。面倒だから物件を売ってしまおうと考える。
来年のレギュレーション改定までの間に大家からの契約解除件数はまだまだ増加するでしょう。
政府が、弱い立場のテナントを守ろうとレギュレーション改定や大家の義務、物件への義務を課すことにより最終的にはテナントが金銭的な負担を余儀なくされる事態になっていきます。
2025年は物件も少なくなるでしょうし、賃貸物件の家賃が上昇します。大手不動産会社の出した予測は平均約4.5%の家賃上昇とのことですが、実際の上昇はもっと大きいものになると予想します。
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